大きな存在
昨年10月愛犬のチビが 他界しました。あと2ヶ月ほどで18才の誕生日を迎えるはずでした。その一年くらい前に急に弱っていつまでも子犬のような外見もすっかり老けてきた時がありました。獣医さんに健診してもらった結果、片目の中に小さいできものが見つかりました。早速片目の摘出手術で治療して頂きました。手術の翌日 弱っているチビが心地よくできるように毛布やクッションを用意して主人と娘が車でお迎えに動物病院に急ぎました。全く予想はずれで、チビはなんとぴょんぴょんして早く家に帰りたいと主人と娘を引っ張って動物病院から出ようとしていたとのことです。車の中でもじっとせず、ウロウロして娘の方が参ってしまったようです。家に着いても 何事もなかったようにあっさりした様子でした。ただ自分の視野が狭くなったことに気づかず、時々家具にぶつかったり、人が急に視野にはいってきてびっくりしたりしていました。でもすぐ片目の状態になれ、健康もすっかり取り戻しました。この調子だと、23才くらいまで長生きできると私達は安心したところでした。昨年の夏の間 チビのお腹の状態が少し悪くなることがたまにありました。9月ごろから、かなり弱ってきました。獣医さんから勧められたドッグフードを小食ですが頑張って食べていました。消化器官が弱っていたのに、なんと最後までちゃんとトイレは庭ですませていました。用意していた犬用のオムツも一度も使用せず旅だってしまいました。最後まできちんとした犬でした。
さて、うちにはもう一匹の犬がいます。チビの4-5倍ぐらい大きい犬のノッポです。ノッポを初めて家に連れてきた時 もうすでにチビは 我が家の女王様でした。ノッポを睨み付け ここで寝てはダメ あっちに行ってはダメとノッポを一日中コントロール。一方ノッポはチビが怖くて仕方ない様子でした。でも時間が経つと チビがいくらか優しくなっていた感じです。ノッポも実はもうチビがこわくないのに 彼女を立てていたようです。王女様と忠実な家来の関係といった感じでした。チビは小さいくせに、他の犬によく吠えました。相手の犬が大きいほど挑戦的な吠え方でした。そういう状況の中 ノッポは間に立って チビをなだめるようでした。庭の塀にそって走りながら塀向こうの犬に吠えるチビを一生懸命止めようとするノッポの姿が今も目に浮かびます。女王様がいなくなった家来のノッポはしばらく鬱になっていました。いつもチビのあとをついていたので、一匹になると、どうしていいわからなくなったのでしょう。最近になって一人っ子になった自覚ができた様子で、わがままになってきました。散歩中他の犬に吠えるようになりました。庭の塀に沿って向こう側を通る犬に吠えるようになりました。これは長年チビちゃんに教えてもらったエチケットのせいでしょう。
ノッポは以前から食べ物の好き嫌いはありませんでした。チビは新鮮な肉が大好きで、エサの上に調理仕立ての肉をのせるとお喜びでした。冷蔵庫から二日目に出した肉はもうツンとして食べませんでした。そんなわがままなチビを見て “ぼくが食べてあげるよ”とノッポは心配そうに見ていたことがよくありました。今では おボンボンのノッポは時々エサを見て “何も上にのってないよ”と見上げるようになりました。そんな時 私とノッポはチビの思い出話をはじめます。そんなこのごろです。
子犬の中で一番小さく他の子犬たちから離れて 一匹で遊んでいたチビ。ぜんぜん寂しそうな様子もなく フワフワしたゴルフボールみたいな小さいからだにかかわらず 力強い子犬だったチビ。17年と10ヶ月力強く 自分らしい一生をおくったチビ。今も私たちにとって大きな存在です。